2011年10月19日水曜日

映画「インサイド・ジョブ」第3部

映画「インサイド・ジョブ」

目次

プロローグ アイスランドの破綻

第1部 これまでの経過

第2部 バブル 2001-2007

第3部 危機

第4部 責任



第3部 危機


0:57

もし宅価格が下がったら最大の危機はなんでしょう?


B・バーナンキ 2006年2月FRB議長に就任
「その可能性は極めて低いです。

全国規模での価格下落は起きていません。」


バーナンキは警告にもかかわらず何もしなかった。


バーナンキは本作への取材を断った。


※住宅価格が上がったのはわかった。
住宅ローン関連の証券は格付けが良く利回りが良いため売れた。
1.銀行が貸付を増やし、住宅を大勢に買わせ、住宅の価格を高騰させた。
2.危険な貸付債権を安全な証券に偽り、一般投資家に買わせた。
3.頃合いを見計らって銀行が貸付を渋り、不動産が下落。
無理な貸付は焦げ付き、証券は紙屑となる。
貸付を受け住宅を購入した者は、住宅を失うだけでなく多額の借金を持つことになる。
クズ証券を買った一般投資家は資金を失う。
銀行は高く売った住宅を下落させ担保権を実行し安く買い取る。
誰が損をして、誰が儲けたのか当事者を多くし複雑にして見えずらくしている。
たとえば貸付債権を転売したり、不動産の購入者を転々としたりして。
一番の問題は、価格が健全な市場によって決まっていると信じられていることだ。
市場価格というものが八百長だと思っていない。
八百長経済、ネズミ講の保険、年金。


R・グナイズダ(バーナンキに就任後3回会っている)
「最後の会見でバーナンキは問題をほのめかして、

調査すべきだと言った。

2009年3月11日ワシントンで。」

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F・ミシュキン FRBの6人いる理事の1人
2006年 ブッシュが任命した。

F・ミシュキン FRB理事2006-2008
「 消費者団体のグナイズダと会いました。」

本作スタッフ
「グナイズダは現状の問題をはっきり警告し、

サブプライムローンの書類を会見に持参したが、

議長は何もしなかった。 」

ミシュキン
「私は詳しいことは分からないから・・・・

実際のところ・・・・

書類の内容は知らないし、

正直 会話の内容は覚えていない。

問題は起きつつあったが、肝心なのはそれが

意識されていたからだ。」

本作スタッフ
「調べれば?」

ミシュキン
「状況を調べる人間は別にいたし・・・・」

本作スタッフ
「自分で調べれば気づくはず。」

ミシュキン
「問題に気づくと口で言うのは簡単だ。」

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2004年にはFBIが住宅ローン詐欺のまん延を警告。

いい加減な査定やローン書類の細工などの詐欺行為を報告していた。

 2005年にはIMFのR・ラジャンが報酬体系の問題を指摘した。


2006年にはN・ルービニが警告した。

2007年にはA・スローンが経済誌と新聞に記事を掲載。

IMFも警告を発した。

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1:00

ドミニク・ストロス・カーン IMF専務理事

「IMFを代表し非常に危機が迫ってると言った。」

本作スタッフ

「誰にですか?」

カーン

「米国政府や財務省やFRB」

2007年5月B・アックマン

”誰がババを引くか”と題しバブル崩壊の解説書を発表。

2008年初頭 C・モリスが差し迫る危機の本を出した。

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フレデリック・ミシュキン FRB理事 インタビュー

本作スタッフ
「どうすべきだと?」

フレデリック・ミシュキン FRB理事

「引受け基準が甘いという懸念はあった。

だが手を打つべきかは疑問だ。」

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2008年 家の差押は急増し、

証券化の連鎖が破綻する。

貸し手は住宅ローンが売れず、

 ローンが焦げつき次々倒産した。


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ジョージ・ソロス


「シティバンクのC・ブリンスは



”我々は音楽が止まるまで踊るしかない”



と言った。 だが既に音楽は止まってたんだ。」


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CDO市場は崩壊し投資銀行は大量の売れないローンやCCDOや不動産を抱えた。


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1:01

NY大学教授

危機が始まった時、ブッシュ政権とFRBは危機の規模を

理解しておらず完全に後手に回った。




※はたして本当に理解していなかったのだろうか?

暴落することは想定ずみだと思う。

しかし、わかっていたなんて言ったら大変なことになるので、

わからなかったふりをしているのだろう。

そして、御用学者たちも”理解しておらず”と言うのだろう。

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クリスティーヌ・ラガルド フランス経済財務相 インタビュー

 本作スタッフ

「初めて危険だと思ったのは、いつか覚えていますか?」

ラガルド

「よく覚えています。確か2008年2月のG7会議でした。

H・ボールソンと話し合ったんです。

私は彼にこう言いました。

 ”ツナミがきているのに、あなたはどの水着を着ろと

提案するだけなの?”とね。

彼は”心配ない”と言った。

”我々は状況を注意深く観察しているから心配ない。”


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2008年2月9日東京G7会議

ポールソン

「成長は持続している間違いない。

成長が続いている以上、景気後退はあり得ない。」



この発言の4カ月前景気後退は始まっていた。

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22008年3月16日

 ウォール街の古参である

3月資金繰りに窮したベアー・スターンズ

JPモルガン・チュースが救済買収 。

FRBは取引に対し、300億ドルの緊急融資を行う。


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サイモン・ジョンソン MIT教授 元IMF主席エコノミスト
「ここで政府が介入し様々な措置を講じて、

市場リスクを減らすべきだった。」

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2008年 7月10日

ポール・カンジョースキー 下院議員

「私の得た情報では、これが終わりではなく

また破綻があるとか?」

ポールソン

「投資銀行を調べたうえでFRBやSECと協力して

彼らの流動性を高めて資本基盤を強化しています。

監督当局も警戒を怠っていません。」

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2008年9月7日

経営危機のファニーメイとフレディマックの国有化が発表された。

2009年9月7日

ポールソン

「今回の措置が他の金融機関の力に影響を及ぼすことはない。」

2日後 リーマン・ブラザーズが32億ドルの損失を発表。
株価は急落した。

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デビッド・マコーミック ブッシュ政権財務次官 インタビュー

本作スタッフ
「リーマンとAIGの影響は驚異的でした。

9月に誰も知らない重大な材料があったのでは?」

マコーミック
「その意見は妥当だ。」

本作スタッフ
「政府は、主要金融機関に一切言わなかった。

”君らの現状を教えろ””ウソでない真の数字を”とは。

なぜですか?」

マコーミック
「まず それは監督当局の仕事だ。

危険資産(エクスポージャー)を把握するのが当局の仕事だし

彼らは把握していた。

危機が進むにつれより精緻な分析をしていたし・・・・」

本作スタッフ

「失礼だが、それは違います。 」
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ジェローム・フォンズ 元ムーディーズ マーケテイング・ディレクター

本作スタッフ
「ベアーズの評価は破綻の1カ月前でAAA

実質はA2だ。破綻企業にはA2も付きませんね。」

フォンズ
「破綻直前のリーマンはA2。

救済直前のAIGはAAだった。

ファニーメイとフレディマックはAAA。

シティもメリルも投資適格の評価だった。」

本作スタッフ

「なぜです?」

フォンズ
いい質問だね。ハハハハ。最高だ。

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フレデリック・ミシュキン
 FRB理事コロンビア大学ビジネススクール教授 インタビュー
本作スタッフ
「リーマンやメリルやAIGの格付けは正確だったと思っていましたか?」

ミシュキン
「確か・・・その時点では、正確でないと分かって

 格下げされたね。 」

本作スタッフ
「いいえ。」

ミシュキン
「数社は下げられた。金融全体で見ると・・・・」

本作スタッフ
「3社とも破綻直前まで最低でもA2でした。」

ミシュキン
「ならば その件について私は詳しくは知らない。」

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ニュース

8月21日ミシュキン理事が辞職。

コロンビア大学の教授に戻るとのこと。

この緊急時に、理事席7つ中3つが空席となったのです。


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インタビュー続き

本作スタッフ
「8月の危機の最悪の時期になぜFRBを辞めたんです?」

ミシュキン
「教科書を加筆する必要があった。」

本作スタッフ
教科書も大事ですが8月の時点では、

もっと大事なことがあったのでは?


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9月12日金曜日リーマンの資金繰りが悪化

投資銀行は泥沼状態だった。

 全金融システムが危機に瀕していた。

週末 ポールソン長官とガイトナーNY連銀総裁はリーマン救済のため 、主要行のCEOを招集。

だが危機は続く、メリルリンチも破綻の瀬戸際にあり、

日曜 バンク・オブ・アメリカに吸収される。

 リーマンを求めたのは英国のバークレイズ


だが英当局は米政府の資金投入を求め 、

ポールソンは拒否。

リーマンも政府も破産プランはなかった。

 ビクラム・バンディット シティグループCEO

ジョン・J・マック モルガン・スタンレーCEO

ジェイミー・ダイモン JPモルガンCEO

 ロイド・ブランクファイン ゴールドマン・サックスCEO

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ハーベイ・ミラー リーマン清算弁護士

「タクシーに飛び乗りNY連銀へ行くと

14日の24時までに破産手続きをしろと言う。

大変な事態になるからと必死で翻意を促した。

”世界の破滅(ハルマゲドン”とも言った。

彼らが結果を考えていたかは疑問だ。


影響は計り知れない。 」

本作スタッフ
「そう言った?」


清算弁護士

ああ。彼らは”君らの抗議内容は想定内だ”と言い、


”市場を沈静化させて先に進むためには、


リーマンの倒産が必要だ”と言った。

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クリスティーヌ・ラガルド フランス経済財務相
本作スタッフ
「リーマン倒産をいつ聞きました?」

クリスティーヌ・ラガルド
「倒産後よ。 」

「なんて思いました?」

「何てことを!」

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ポールソンらは他国政府と相談せず、

外国の破産法に詳しくなかった。

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2008年9月16日

リーマンのロンドン支店は即時閉鎖された。

清算弁護士
「何千何万という取引がすべて停止した。」

ヘッジファンドはロンドン支店に預けていた資産が一夜で引き出せなくなった。

サタジット・ダス 作家
「中核の一つの破綻で、全体に連鎖反応が起きるんだ。」

Bloomberg ”Flight to Safety"ニュース
「最古のMMFでは破綻したリーマンへの債権7億ドルが

回収不能となりました。 」

コマーシャルペーパー市場も崩壊した。

会社は給料等の支出をCPに負っている。

従業員も解雇、部品も買えず仕事は停滞です。

ジリアン・テット フィナンシャル・タイムズ紙米編集長
「皆は何を信じていいか、分からなくなっわ。」

同じ週 AIGはCDSの支払い130億ドルを控え資金がなかった。


「AIGも中核(ハブ)だ 。」

アンドリュー・シェン 中国銀行監督管理委員会主席顧問
「AIGが止まれば、飛行機はすべて落ちる。」

9月17日 AIGは国有化された。

翌日ポールソンらは、議会に銀行救済費7000億ドルを要求。

拒否すれば金融界は崩壊すると警告した。

NY大学教授
「システム全体の凍結だ。

あらゆる金融システムが止まり 金も借りられない。

まるで心臓発作のようだ。」

2008年9月15日

ポールソン
「配られたカードで私はプレーをしている。

何年も前に誰かがやったことのあと始末だ。」

CDSの規制を禁じたのも、レバレッジの規制を禁じたのもポールソンだった。



ポールソンは本作の取材を断った。



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AIGの救済でCDSの買い手に610億ドルが支払われた。

最大手客はG・サックスだ。


財務省とFRBはCDS額面1ドル当たり100セントの全額支払いを指示。

AIG救済で1500億ドル以上の税金が使われた。

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マイケル・グリーンバーガー 元CFTCスタッフ
「AIGにいった1600億ドル中、140億ドルがG・サックスへ」

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また、財務省とFRBはAIGに投資銀行への訴訟権を放棄させた。

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本作スタッフ
「今回の危機に対処した元G・サックスのCEOに問題があったのでは?

誰かに責任があるはずだ。」

デビッド・マコーミック ブッシュ政権財務次官
「だが現在の金融市場は非常に複雑だからね。」

2008年10月4日

ブッシュ大統領は7000億ドルの救済法案に署名。

だが株式市場は下落を続け景気後退が迫ってきた。

解雇と住宅差し押さえの流れは止まらず、

欧米の失業率は10%に急上昇した。

景気後退は全世界へ波及する。

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チャールズ・モリス 作家
「私は恐くなった。予想してなかったんだ。

世界が同じ割合で同時に不況になるとは」

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2008年12月 GMとクライスラーが破綻

米国の消費は縮小し中国の製造業は売上が急落

1千万以上の労働者が職を失う。

最後は貧しい者が一番被害を受ける。

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米国の住宅差し押さえは2010年初頭600万件に

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エリック・ハルペリン 責任ある融資センター ワシントン支部理事
「差し押さえがあると周囲にも影響が出る。

物件は安値でしか売れず、 物件が荒れていくんだ。

今後も900万人ほどが家を失うだろう。」













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